002

午前10時—。開演から10時間前に既に長蛇の列が出来上がっていた。アメリカではおよそ1年半ぶりの単独公演、皆久々のVAMPSライブを少しでも近くで見たいという想いで並んでいた。アメリカのファンはもちろん、日本やドイツ、世界中のファンが大勢集まっていた。改めてこのバンドがいかにワールドワイドか実感する光景だ。

午後7時。開場の時間だ。前座までの1時間もファンにとってはあっという間に過ぎるようだ。

最初の前座はFrom Ashes to Newだ。ロックとラップを混ぜ合わせた独特の楽曲はとてもテンポが良く、彼らのことを初めて知った観客もすぐに音楽にノっている。

続いてはニュージーランドからはるばると来た3人組バンドのLike a Storm。ディジュリドゥというオーストラリアの民謡楽器を取り入れたハードロック。オリジナル曲はもちろん、AC/DCの「T.N.T.」のカバーも披露し、観客はあっという間に虜に。

そして、いよいよVAMPSの出番だ。

美しいキーボードの音色。最新アルバムのイントロ「REINCARNATION」だ。ドラムのArimatsu、キーボードのJIN、ベースのJu-Kenが順にステージに登っていく。歓声は大きくなるばかりだ。そしていよいよVAMPSのお二人の登場。ギターのK.A.Zは定位置に、ボーカルのHYDEはスタンドマイクの前に立つ。

Arimatsuがハイハットでリズムを刻む。続いてファンにはもう既にお馴染みのギターリフが鳴り響く。8枚目のシングル「AHEAD」の英語版「WORLD’S END」だ。HYDEの叫びと共に、ファンは 既に最高潮かと思えるような歓声を上げる。 メンバーはエネルギッシュにステージを駆け回る。

続いては「LIPS」。アルバム「BLOODSUCKERS」が発売されてから初のアメリカ単独公演。現地のファンはようやくアルバム曲を生で聴けるこの日が待ち遠しかったに違いないだろう。HYDEの胸には今回も大きく「XIII」とローマ数字で描かれている。そんなHYDEがセンターで歌い始めると、それを囲むようにK.A.ZとJu-Kenが寄っていく。「ガーガーガー」というこの曲独特の部分になるとHYDEは観客にマイクを向けて、満足気な表情を見せてはサビを歌いだす。

前2曲に負けることなく3曲目は始まる。Mötley CrüeのNikki Sixxが率いるバンドSIXX:A.M.の前座としてアメリカを周っていた時、何度も演奏したモトリーのカバー「LIVE WIRE」だ。この1ヶ月温められたこの楽曲はどう変わったか。ファンも今までとは違う盛り上がりを見せる。

4曲目には「REPLAY」。照明が暗くなるとHYDEのカラーコンタクトは青く光る。サビで高く長く伸びる彼の声はほぼ毎日SIXX:A.M.のツアーで歌い続けていたとは思えないくらい全く疲れを感じさせない。

続いては「GET AWAY」だ。MVに映る多くの建物とNYの都会の雰囲気はどことなく似ている気もする。 「DAMNED」「EVIL」と、続いてアルバム曲が披露されていく。全米ツアーで1ヶ月を常に共にしていたからだろうか。今まで以上にメンバー同士の結束が深まっているようだ。

ピアノの音色が会場を包み込む。「VAMPIRE’S LOVE」だ。K.A.Zはファンの目の前に座り込んでリバーブを効かせた繊細な音を奏で、スポットライトが当たるとHYDEは1輪のバラを手に歌いだす。壮大なバラードに今まで大きな歓声を上げていたファンも静まり返り、最後は温かい拍手が送られる。

しんみりとした会場もHYDEの声ですぐに熱気を取り戻す。MCの時間だ。「We are very happy to be back!」とNYで再びライブをやる喜びを露わにする。ファンの喜ぶ姿を見ては、彼自身も嬉しそうにガッツポーズをし、「Come on, New York City! Here we go!」と再び観客を煽る。

「ZERO」のイントロが流れる。徐々に増すベース音はまるで観客の高まる興奮を表しているようだ。なんだか広い夜空に浮かんでいるかのような浮遊感に陥る、不思議な心地良さを誘う楽曲だ。

雰囲気は一転、10曲目にはファンがとにかく明るく盛り上がる「ANGEL TRIP」。満面の笑みで観客と向き合うJu-Ken。JINも楽しそうに演奏している。爽快感溢れるギターソロが流れる。外はまだ冬並みの寒さだが、会場内はすっかり夏気分だ。

パワフルな音が床を振動させる。Arimatsuのドラムソロだ。全く疲れを見せない力強さだ。「LOVE ADDICT」のパートにアレンジをどんどん加え、勢いのあるソロを展開していく。続いてはJu-Kenのベースソロだ。高速でスラップを効かせている。

VAMPSの原点とも言えるデビューシングル「LOVE ADDICT」が続く。HYDEとK.A.Zは向かい合わせにギターを鳴らす姿を見ては、当時を思い出しては懐かしい気分に浸るファンも少なくないだろう。

12曲目の「BLOODSUCKERS」が終わっても歓声は止まない。次の曲のイントロが流れる。それが何の曲か気付くとファンの歓声はより一層大きくなる。HYDEのソロ時代から演奏されてきた「MIDNIGHT CELEBRATION」だ。K.A.Zは何度もギターを回してはステージ上を飛び回る。HYDEは頭を大きく振りながら歌う。 ロックバンドならではのライブだ。

曲が終わるとメンバーは1人1人ステージ裏へ帰っていく。そこから1分も経たないうちにアンコールの声が挙がる。「Bang on! Stomp everybody!」という声がどんどん広がっていく。VAMPSファン特有のアンコールだ。

メンバーが再び登場。「REVOLUTION II」で始まるアンコール。HYDEは海賊旗を提げシャウトする。K.A.Zはギターを弾きながら観客を盛り上げ、JINはテンポに合わせ足踏みをしている。とても10曲以上を既に演奏しているとは思えないエネルギーだ。

その後は再びMCだ。観客に投げキッスをしてからHYDEは「Thank you guys. I’m so happy!」とファンにお礼をする。「There are only a few songs left.」と言うとファンからは冗談めいたブーイングが聞こえる。この楽しい時間が終わってしまうのが悲しいのであろう。それに同意するかのようにHYDEは「ねぇ」と少し首を傾げる。続いて前座の素晴らしいパフォーマンスを賞賛。最後にお礼をもう一度言い「Let’s meet again!」とMCを明るく締めくくる。

「MEMORIES」が始まる。VAMPSライブの定番とも言えるこの楽曲。観客は盛り上がりながらも感傷に浸る。今まで自分たちの行ったライブを思い出しては微笑むファン。サビの「Those are my most treasured memories」という歌詞がぴったり当てはまるようだ。

「MEMORIES」のあとはハードロックな「DEVIL SIDE」、そして最後にVAMPSの象徴とも言える「SEX BLOOD ROCK N’ ROLL」が続く。メンバーも観客も全てを出し切るかのような盛り上がりだ。

こうして1時間半のライブは幕を閉じた。ファンにとってはもっと短く感じたであろう貴重なこの時間。外に出ると会場内の熱気がまるで幻かのように寒さが身体に染みる。だがファンはそんなことを気にもとめず皆幸せそうな表情を浮かべながら帰って行く。

 

Read the English version here.


Like it? Share with your friends!

2 Comments

Comment down below!

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.